新しい職場へ慣れるために

新しい職場に足を踏み入れるとき、多くの人が感じるのは期待と不安の入り混じった、なんとも言えない緊張感です。どんな人がいるのだろう？　仕事はうまくできるかな？　馴染めるかな？──そうした疑問が頭の中をぐるぐると巡るのは、とても自然なことです。

新しい環境に飛び込むと、つい自分をよく見せようと頑張りすぎてしまうことがあります。でも、最初の数日は「観察」に徹するのがおすすめです。職場の雰囲気、先輩たちの言葉の選び方、仕事の進め方、休憩の取り方……そうした小さなことから、その職場の「文化」が見えてきます。

そして、どんな環境であっても、まずはそれを受け入れてみること。合う・合わないを判断するのはもう少しあとでいいのです。「なるほど、ここではこうなんだな」と、少し距離を取って冷静に観察するだけでも、気持ちはずいぶんと楽になります。

人間関係を築くうえで、「話す」ことも大切ですが、実は「聞く」力のほうがもっと重要だったりします。新しい職場でまだ何もわからない自分にとって、同僚や先輩の話をよく聞くことは、仕事を学ぶだけでなく、信頼関係を築く第一歩にもなります。

「この人はちゃんと話を聞いてくれる」と思ってもらえれば、自然と声をかけてもらえるようになり、孤独感も少しずつ和らいでいきます。

新しい職場で最初から完璧に仕事をこなせる人なんて、ほとんどいません。分からないことを聞くのが恥ずかしい、迷惑をかけたくない、早く一人前にならなきゃ……そんな思いがあるかもしれませんが、「最初はできなくて当たり前」と自分に言い聞かせることも、長く働いていくうえでとても大事です。

むしろ、「分からないことを素直に聞ける人」のほうが、まわりから信頼されやすくなります。無理に完璧を目指すのではなく、「少しずつできることを増やしていく」ことを目標にしましょう。

新しい環境に馴染むまでには、時間がかかります。1週間や2週間では「まだ慣れていない」と感じて当然です。3ヶ月、半年、1年……そのくらいかけて少しずつ自分の「居場所」を作っていくものです。

うまくいかない日があっても、それは環境が変わったからこそ起こる自然な揺れであり、自分の能力が足りないからではありません。

新しい職場に飛び込むことは、それだけでとても大きなチャレンジです。知らず知らずのうちに、心も身体も疲れてしまうことがあります。だからこそ、仕事が終わったら自分を褒めてあげましょう。「今日もよくやったね」「緊張の中、ちゃんと行けたね」と、やさしい言葉をかけてあげてください。

新しい環境に少しずつ慣れていく過程も、自分を育ててくれる大切な時間です。焦らず、比べず、あなたのペースで、一歩ずつ歩んでいきましょう。